2020年08月27日

私が高性能住宅に関心を持ったきっかけ

今回は私こと3代目が高性能住宅へのシフトする理由を書きます。

まず、私は大工になったのが25歳の時で、大工になって3年後にアパート近くに低価格な分譲地が作られるという事を知り、アパート代払うくらいなら家を建てよう!と言う話になりました。ちょうど仕事も少ない時期だったのを覚えています。
その頃はまだ身分的には弟子扱いでしたし、まだ早い感じもありましたが銀行の借り入れで35年ローンで考えるとちょうどよかったと記憶しています。


2009年の秋に着工で2010年の春に入居しました。
当然ですが自分の家だから特にこだわろう!と、考えており、実際にアパートが夏すごく熱くて、冬も寒いアパートでしたので何となくですが「暖かくて涼しい家がいいな」と思っていました。
この当時は断熱気密の知識が無くて、それこそ断熱材の選定等は断熱業者からの他の工務店やHMが使っているものを真似ていました。私も建築士の資格もなかったし、弟子の立場でしたから大工技術を覚えることに必死だったのでその時の「普通の仕様」を自宅でもやるつもりでした。

ただ今回の仕様で大きく違ったのは新築前にとある設計士事務所のお客様でマンションや資材設備に硬質ウレタンフォームを吹き付けて断熱する業者様と縁があって、自宅にもお願いしたんです。
単純な考えですが発泡スチロールのクーラーボックスの様になると思っていましたので、当然保温力が良いんだな!と思っていました。
その時の仕様が以下の通りです。
・壁の断熱・・・硬質ウレタンフォーム吹付け40mm  → R値1.3u・K/W
・屋根断熱・・・硬質ウレタンフォーム吹付け50mm  → R値1.4u・K/W
・床断熱 ・・・フクビ フクフォーム2型(根太工法)→ R値0.8u・K/W
・窓   ・・・樹脂アルミ複合ペアガラス

今考えると恐ろしい仕様です。H11年基準でもまったく当てはまらない性能です。
この家に入居して初めての冬は、オイルヒーター1個で家があたたまるだろう!と本気で考えていました。

そのときに作っていたお客様の家の半分の性能です。その頃のお客様の仕様は記憶ではありますが
・壁の断熱・・・高性能GW16K105mm厚  → R値2.8u・K/W
・天井断熱・・・GW10K100mm厚×2    → R値4.0u・K/W(高性能GW16K105mm1枚のときも有りました)
・床断熱 ・・・フクビ フクフォーム2型またはフクフォームエコ → R値0.8u・K/Wまたは2.5u・K/W
・窓   ・・・樹脂アルミ複合ペアガラス

不幸中の幸い?で私の家は大工らしい意匠的な家でして、見た目だけ!は良い家だと思います。
その年の12月頃になってものすごい寒さで「暖かく作ったのに・・・おかしい」と疑問に思いました。
どこが主催だったか忘れてしまいましたが「高断熱・高気密」の言葉を作った室蘭大学の「鎌田紀彦」教授が新潟でセミナーに来ていただいた時がありまして、全く参加する気はなかったのですが、私の家が寒いのがこの当時本当にどうしても分からなかったのでセミナーに参加させてもらいました。むしろ床の断熱材で○○の断熱材を使えば良いんじゃないかな?と言う程度の関心でした。
正直、セミナーの内容は今の気密・断熱では当たり前のお話でしたが1割も理解できなかったと思います。

セミナー終了後の個人の質疑応答で先生に伺いました。たしかこんな内容です。

私「先生、今年家を建てたのですがすごく寒いんです。床が特に冷たいし・・・床の断熱材を○○に変えれば良いんでしょうか?」
鎌田先生「断熱仕様はどんなのかね?(断熱材の素材名や吹付けのことを話す)・・・・これじゃ寒いのは当たり前だよ。全然性能が足りてない。」
私「え?だって発泡スチロールの箱みたいな感じですけど・・・」
鎌田先生「気密はどうなってるの?換気は何を使ってるの?・・・仕様がわからないと答えられないけど、少なくてもその倍は必要。それに気密が取れている前提でようやく普通の性能になりますよ。」
私「(頭が真っ白)じゃあ床の断熱材を○○に変えるとかの話じゃないんですかね?」
鎌田先生「断熱材の種類は重要じゃない。適切な厚みと気密がしっかりあるかが重要なんです。今後は気密・断熱の本を読んだり、こういうセミナーに参加したりして勉強すると良いよ。」
私「・・・ありがとうございました」

帰り道、本を購入したのは言うまでもなく、その後にH25年基準に向けての街の工務店向けのセミナーに参加することになります。

そのお話はまた後日に。

posted by 三代目 at 15:06| Comment(0) | 家造り

2020年08月21日

アルミを使うサッシはもうダメ。

まだまだ暑い日が続きますが、私も現場に出ていて感じた事を書きます。

新築現場がもうすぐ終わりでして、私一人でYKKのアルミ製の庇を付けていました。

窓上に取り付けてある小さな屋根の事で、ちゃんと計算すれば非常に夏場の日射遮蔽と冬場の日射取得、窓の汚れ防止等、非常に有用な部材です。

最近はスタイリッシュな家が増えていて、庇=古臭いというイメージがありましたが、YKKやLIXILの大手メーカーをはじめ、色々なメーカーが販売しています。

さて、その取り付けに感じた事ですが、この庇はアルミ製です。

本日の気温は30度以上と非常に暑い中作業していましたが、庇の部品を取り付ける際にパッケージから取り出して、寸法などを図った僅か数分で触れない位熱くなりました。
わずか数分でこんなに熱くなるなんて・・・当たり前と言えば当たり前ですが、最近は樹脂サッシしか使っていなかったので、純粋なアルミ部材を触る機会が減っていたので改めて驚きです。
築20年以上前の家なら、ほとんどがアルミサッシかと思います。
こんな触れない位熱い物が家の随所にあるなんて・・・いくら省エネエアコンを使っても電気代が高くなるわけです。

一般的に窓からの日射の取得熱量は掃き出し窓で600Wと言う話を何度も耳にしました。
勿論、サッシの種類やガラスの種類、影の有無などで全く変わりますが、600Wとは「こたつ」が壁にあると思ってください。

冷房をしながらこたつを付けているんです。しかも窓の量の数だけ。

未だにですがHMさんや断熱などを理解していない、低コスト重視の住宅では「樹脂アルミ複合サッシ」という樹脂とアルミの良い所取りですよ!と、うたい文句を使ってる所があります。
たった数分で触れない位熱い物がいくら樹脂で熱を伝えにくくしているとは言え、限度というものがあります。
逆に、冬の冷たい温度を簡単に伝わらせて、結露やコールドドラフト等の不快なもの発生します。
本当にお客様の事を考えるのでしたら、とにかく「アルミを使うサッシはもうダメ!」と言える所を選んだ方がいいです。

斉藤工務店ではここ5年は新築では物置以外ではアルミを使ったサッシは使っていません。
リフォームでも積極的に樹脂サッシを勧めますが、オーダーサイズになってしまって納期の問題等により泣く泣く樹脂アルミサッシを使う事はあります。(樹脂サッシはこちらでは納期が掛かります)
その際は最低でもLIXIL社の「サーモスX」というガラス面が大きくアルミフレームを極力小さくしたサッシを使います。
それか樹脂の「内窓」を提案して樹脂サッシと同等レベルに近づける対策をします。

リフォームなどでもご相談承りますので、この機会に温熱環境を整えませんか?
posted by 三代目 at 19:34| Comment(0) | 家造り

2020年08月17日

自然素材の調湿への誤解

よく「天然素材の家」「無添加住宅」「呼吸する家」等の健康に良さそうな家のキャッチフレーズを聞きます。

なぜその様なフレーズがあるかはやはり日本人特有の「健康志向」があると思います。
日本のテレビ番組をみると週に必ず健康についての特番や毎週やっている番組がある位、日本人は健康には非常に敏感です。

前回の換気について記事を書きましたが、コロナ禍で換気の重要性が見直されとある窓メーカーでは自社の窓が換気するのに適している等、CMでアピールしています。

さて、冒頭の健康系住宅によくアピールされる内容の一つに「調湿」という物があります。

湿度が高いと夏は暑くなったり、高い湿度でカビが生えてしまったり。逆に低かったら冬は乾燥してインフルエンザや喉の乾燥、女性なら肌の乾燥で悩むと思います。

では健康住宅の調湿効果とはなんでしょう?多くは「珪藻土」や「しっくい」などを使って天然・無添加=健康という構図をアピールしている事が非常に多いです。

実際に珪藻土や漆喰は調湿効果というか水分を吸って放出するという特徴があり、ビニールクロスだけの住宅よりは調湿効果があると言えます。最近ではバスマットでも珪藻土が使われた商品があるので水分の給水効果はよく分かると思います。

では珪藻土などを使うと湿度を気にしなくても良いのか?

これは間違いです。
「私の家は珪藻土の壁だから調湿してくれて快適です」というお宅もあると思いますが、珪藻土などが湿度を調整するには限界があります。
夏場や梅雨時期、洗濯物を屋内干しにして中々乾かないという事はよくあると思います。それと同じで珪藻土もあくまで「ビニールクロスよりは調湿効果がある素材」という事だけですので屋内の湿度が高く、珪藻土が湿気を吸う限界になったら当然、調湿などしません。
同様に冬場に珪藻土だからといって、何もない所から湿気を放出するわけでなく、珪藻土がカラカラに乾いた時点で湿度など調整はしません。

さも「珪藻土などの天然素材を使うと何も無い所から湿気を作り出して人間にとって最適な湿度にしてくれる」と思いこむ人はたくさんいるのです。

そんな夢のような素材が発見されたらノーベル賞以上の誉れになるでしょう。
これは住宅業界の誇大広告の一つと思います。

同様に桐の板やフローリング、杉・ヒノキ等の無垢素材が「天然な素材だから呼吸して湿度を調整してくれる」という人もいますが「人間にとっての快適な温度と湿度は自分で作らない絶対にできない」です。

私のお客様も桐の合板や羽目板を使った納戸や押入れが万能と勘違いされていて「え?桐の板つかってるのだから、調湿してくれるもんじゃないの?」と。
もちろんビニールクロスよりは調湿効果は高いですが、それも当然限界があります。隙間を作ったり、乾燥させる様に部屋の湿度に気をつけないとすぐにカビてしまいます。

まだ続きますが今回はこのくらいで。

とにかく「自然素材」は万能では有りません。
posted by 三代目 at 19:36| Comment(0) | 家造り